糖尿病予備群とは?放置するリスクと自力で正常値に戻すための改善ガイド

2026.09.14

健康診断で血糖値やHbA1cの数値を指摘され、「糖尿病予備群」の可能性に不安を感じていませんか。

糖尿病予備群とは、血糖値が正常よりも高いものの、糖尿病と診断されるほどではない状態を指します。

この段階であれば、生活習慣の見直しによって正常な状態に戻せる可能性が高いですが、放置すると本格的な糖尿病へ進行するリスクがあります。

この記事では、糖尿病予備群の基準値から放置する危険性、自力で改善するための具体的な方法までを解説します。

糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは?健康診断の結果で確認すべき基準値

糖尿病予備群は、医学的には「境界型糖尿病」と呼ばれ、血糖値が正常型と糖尿病型の間にあるグレーゾーンの状態を示します。

この段階では自覚症状がほとんどないため、健康診断の結果が自身の状態を把握する唯一の手がかりとなります。

血糖値やHbA1c(ヘモグロビンA1c)の数値が基準値を超えていないかを確認することが重要です。

これらの数値が境界型に該当する場合、将来の糖尿病発症リスクが高いことを意味します。

【血糖値】空腹時血糖値と75gOGTT(ブドウ糖負荷試験)の数値

血糖値は、血液中のブドウ糖の濃度を示す値です。

健康診断で一般的に測定されるのは「空腹時血糖値」で、これが110~125mg/dLの場合、境界型糖尿病が疑われます。

さらに詳しく調べるために行われるのが「75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)」です。

この試験で、ブドウ糖液を飲んでから2時間後の血糖値が140~199mg/dLの範囲にある場合も境界型と判断されます。

空腹時血糖値が正常でも、食後の血糖値が上がりやすい「かくれ糖尿病予備群」を発見できます。

【HbA1c(ヘモグロビンA1c)】過去1~2ヶ月の血糖状態を示す数値

HbA1c(ヘモグロビンA1c)は、赤血球中のヘモグロビンがブドウ糖とどのくらい結合しているかを示す指標です。

血糖値がその時々の食事や運動に影響されるのに対し、HbA1cは過去1〜2ヶ月間の平均的な血糖状態を反映します。

そのため、より長期的な血糖コントロールの状態を把握するのに役立ちます。

健康診断でこのHbA1cが5.6%~6.4%の範囲にある場合、糖尿病予備群と判断され、血糖値が高い状態が慢性的に続いている可能性が示唆されます。

糖尿病予備群には自覚症状がほとんどない

糖尿病予備群の段階では、多くの人に自覚症状は現れません。

本格的な糖尿病でみられるような、喉の渇き、頻尿、体重減少といった典型的な症状はほとんどなく、普段の生活で異常を感じることは稀です。

そのため、健康診断や人間ドックで数値を指摘されて初めて気づくケースがほとんどです。

症状がないからといって安心していると、気づかないうちに病状が進行してしまう危険性があります。

定期的な健康診断で自身の数値を把握し、早期に対策を始めることが極めて重要です。

糖尿病予備群を放置することで高まる3つの健康リスク

糖尿病予備群は、まだ病気ではないと軽く考えがちですが、放置すると深刻な健康問題につながる可能性があります。

血糖値が正常より高い状態が続くこと自体が、体にさまざまな負担をかけています。

具体的なリスクを理解し、早期の対策につなげることが重要です。

リスク1:高い確率で本格的な糖尿病へ進行する

糖尿病予備群の状態を放置すると、高い確率で2型糖尿病へと進行します。

報告によれば、境界型糖尿病の人が1年間に糖尿病へ移行する割合は5~10%程度とされています。

適切な対策を講じなければ、数年以内に糖尿病と診断される可能性が非常に高い状態です。

しかし、この段階で生活習慣を改善すれば、糖尿病への進行を防いだり、遅らせたりすることができます。

予備群と診断された時点が、将来の健康を左右する重要な分岐点となります。

リスク2:動脈硬化が進み心筋梗塞や脳梗塞の危険性が上昇する

血糖値が正常より高い状態は、血管の壁を傷つけ、動脈硬化を促進させます。

これは糖尿病と診断される前から始まっており、予備群の段階でも心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる血管疾患のリスクは、血糖値が正常な人と比べて高いことがわかっています。

自覚症状がないまま動脈硬化が進行し、ある日突然、深刻な病気を発症する危険性があるため、血糖値を正常に保つ努力が求められます。

リスク3:気づかないうちに腎臓や目などの合併症が進行する

これらの合併症は、糖尿病と診断されてから始まるのではなく、血糖値が高くなり始めた予備群の段階から、すでに静かに進行している可能性があります。

特に細い血管が集中する腎臓や目、神経はダメージを受けやすく、症状が現れたときにはかなり進行しているケースも少なくありません。

早期からの血糖コントロールが合併症予防の鍵です。

なぜ血糖値が高くなる?糖尿病予備群になる2つのメカニズム

血糖値が正常範囲を超えてしまう背景には、血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンの働きに問題が生じていることが挙げられます。

主にインスリンの効きが悪くなるケースとインスリンの分泌量が減るケースの2つのメカニズムがあり、これらが単独または複合的に関与して高血糖状態を引き起こします。

インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」

「インスリン抵抗性」とは、膵臓からインスリンが十分に分泌されているにもかかわらず、筋肉や脂肪細胞での効きが悪くなり、ブドウ糖をうまく細胞内に取り込めなくなる状態です。

その結果、血液中にブドウ糖が溢れてしまい、血糖値が下がりにくくなります。

インスリン抵抗性の主な原因は、肥満(特に内臓脂肪の蓄積)や運動不足、食べ過ぎといった生活習慣の乱れです。

膵臓は血糖値を下げようと、より多くのインスリンを分泌するため疲弊しやすくなります。

インスリンの分泌量が減る「インスリン分泌不全」

「インスリン分泌不全」は、血糖値を下げるためのインスリンを分泌する膵臓の機能自体が低下し、必要な量のインスリンを分泌できなくなる状態です。

遺伝的な体質が影響している場合が多く、日本人を含むアジア人は欧米人に比べてインスリンの分泌能力が低い傾向にあります。

長期間にわたる高血糖状態やインスリン抵抗性によって膵臓が疲弊し、インスリン分泌量がさらに減少することもあります。

これにより、わずかな食事でも血糖値が上がりやすくなります。

糖尿病への進行を防ぐ!自力で正常値を目指す生活習慣の改善策

糖尿病予備群の段階では、多くの場合、薬物治療の前に生活習慣の見直しが推奨されます。

食事と運動を中心としたセルフケアは、糖尿病への進行を防ぐための最も重要で効果的な対策です。

日々の小さな心がけを継続することで、血糖値を正常範囲にコントロールし、将来の健康リスクを大幅に減らすことが可能です。

ここでは、今日から始められる具体的な改善策を紹介します。

【食事編】血糖値コントロールの基本となる5つのポイント

食事は血糖値に直接影響を与える最も重要な要素です。

何を食べるかだけでなく、食べ方や食べる時間も血糖値のコントロールに大きく関わります。

日々の食生活で以下の5つのポイントを意識することが、改善への第一歩となります。

「ベジファースト」で野菜から食べる順番を意識する

食事の最初に野菜やきのこ、海藻類など、食物繊維が豊富なものから食べる「ベジタブルファースト(ベジファースト)」を実践しましょう。

食物繊維は、後から食べる炭水化物(糖質)の消化・吸収を遅らせる働きがあり、食後の血糖値の急激な上昇を抑える効果が期待できます。

まずはお味噌汁やサラダから手をつけるなど、食べる順番を意識するだけで簡単に始められます。

糖質の吸収を緩やかにするためにゆっくりよく噛んで食べる

早食いは、血糖値が急上昇する原因の一つです。

満腹感を得る前に食べ過ぎてしまい、結果として糖質の摂取量も増えがちです。

食事は一口ずつ、最低でも20~30回は噛むことを意識しましょう。

ゆっくりよく噛んで食べることで、消化酵素の分泌が促されるだけでなく、脳の満腹中枢が刺激されて食べ過ぎを防ぐ効果もあります。

時間をかけて食事を楽しむことが、血糖コントロールにつながります。

1日3食を規則正しく食べ、間食や夜食を控える

食事を抜くと、空腹の時間が長くなり、次の食事で血糖値が急激に上がりやすくなります。

また、まとめ食いやドカ食いの原因にもなり、膵臓に大きな負担をかけます。

朝・昼・夕の3食をなるべく決まった時間に摂るように心がけましょう。

特に、血糖値が下がりにくい夜間の間食や夜食は控えることが重要です。

規則正しい食生活のリズムを作ることで、血糖値の安定化を目指します。

甘い飲み物の代わりに水やお茶を選ぶ習慣をつける

ジュースや加糖のコーヒー、スポーツドリンクなどの清涼飲料水には、吸収されやすい糖分が多く含まれており、血糖値を急激に上昇させます。

普段から甘い飲み物を飲む習慣がある場合は、水やお茶、無糖のコーヒーなどに置き換えるだけでも大きな改善効果が期待できます。

飲み物から摂取する糖分は気づきにくいため、意識的に見直しましょう。

無理のない範囲で腹八分目を心がける

食べ過ぎは血糖値を直接的に上昇させるだけでなく、肥満の原因となりインスリン抵抗性を悪化させます。

毎食「もう少し食べられるかな」というところで箸を置く、「腹八分目」を習慣にすることが大切です。

まずは、いつもよりご飯を一口減らす、おかずの量を少し減らすなど、無理のない範囲から始めてみましょう。

継続することが、適正体重の維持と良好な血糖コントロールにつながります。

【運動編】効果的に血糖値を下げるための運動習慣

運動は、食事療法と並行して行うべき重要な改善策です。

運動には、ブドウ糖の消費を促して直接的に血糖値を下げる効果と、筋肉量を増やしてインスリンの効きを良くする(インスリン抵抗性を改善する)長期的な効果があります。

無理なく続けられる運動習慣を身につけましょう。

ウォーキングなどの有酸素運動を週150分目標に行う

ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動は、血液中のブドウ糖や脂肪をエネルギーとして消費するため、血糖値を下げるのに効果的です。

目標は、少し汗ばむ程度の強度で週に合計150分以上行うことです。

例えば、「1回30分のウォーキングを週5日」のように、生活の中に組み込みやすい形で継続しましょう。

まとまった時間が取れない場合は、10分の運動を1日に数回に分けて行っても同様の効果が期待できます。

スクワットなどの筋力トレーニングでインスリンの効きを良くする

筋肉は、体内で最も多くのブドウ糖を消費する組織です。

スクワットや腕立て伏せなどの筋力トレーニングを行うと筋肉量が増え、ブドウ糖が筋肉に取り込まれやすくなるため、インスリンの働きが改善します。

これにより、血糖値が上がりにくい体質へと変わっていきます。

有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることで、より効果的に血糖値をコントロールできます。

週に2~3回、無理のない範囲で取り入れましょう。

食後の運動が効果的

運動を行うタイミングを工夫すると、より効率的に血糖値の上昇を抑えることができます。食後の血糖値の急上昇を抑えるためには、食後15分後から15分間程度の運動が効果的であるという研究結果があります。軽い散歩や、その場での足踏み、階段の上り下りなど、短時間でも構いません。食後に体を動かす習慣をつけることで、血糖値の急上昇を防ぎ、安定した状態を保ちやすくなります。

【その他】食事と運動以外で見直したい生活習慣

血糖値のコントロールには、食事や運動だけでなく、睡眠や喫煙、ストレスといった日々の生活習慣も深く関わっています。

これらの要素を見直すことで、ホルモンバランスが整い、より効果的に血糖値を安定させることができます。

質の良い睡眠でホルモンバランスを整える

睡眠不足は、血糖値を上昇させるホルモン(コルチゾールやアドレナリンなど)の分泌を促し、インスリンの働きを妨げる原因となります。

慢性的な睡眠不足は、インスリン抵抗性を悪化させることが研究で示されています。

毎日6~8時間程度の十分な睡眠時間を確保し、就寝前のスマートフォン操作を控えるなど、睡眠の質を高める工夫を心がけましょう。

規則正しい睡眠リズムは、体内のホルモンバランスを整え、血糖コントロールを助けます。

禁煙してインスリンの働きを改善する

喫煙は、交感神経を刺激して血糖値を上昇させるだけでなく、体内に慢性的な炎症を引き起こし、インスリン抵抗性を悪化させることが知られています。

喫煙者は非喫煙者に比べて糖尿病を発症するリスクが高いというデータもあります。

糖尿病予備群と指摘された場合は、これを機に禁煙に踏み切ることが強く推奨されます。

禁煙は血糖コントロールの改善に加え、動脈硬化の進行を抑える上でも極めて重要です。

ストレスを上手に発散する時間を作る

過度な精神的ストレスは、睡眠不足と同様にコルチゾールなどのストレスホルモンの分泌を促し、血糖値を上昇させる一因となります。

現代社会でストレスを完全になくすことは困難ですが、自分に合った方法で上手に発散することが大切です。

趣味に没頭する時間を作る、軽い運動でリフレッシュする、ゆっくり入浴するなど、心身をリラックスさせる習慣を取り入れ、ストレスを溜め込まないようにしましょう。

しょうこ内科クリニックが提供する糖尿病予備群へのアプローチ

しょうこ内科クリニックでは、糖尿病予備群と診断された方に対し、画一的な治療ではなく、一人ひとりのライフスタイルや価値観に合わせたアプローチを大切にしています。

単に薬を処方するのではなく、血糖値が高くなっている根本的な原因を探り、食事や運動といった生活習慣の改善を丁寧にサポートします。

管理栄養士や医師が連携し、具体的で続けやすい改善プランを一緒に考え、糖尿病への進行を防ぐためのきめ細かな治療と指導を行います。

糖尿病予備群とはに関するよくある質問

ここでは、糖尿病予備群について患者様からよく寄せられる質問にお答えします。

糖尿病予備群と診断されたら、もう甘いものは食べられませんか?

完全に断つ必要はありません。

大切なのは量や頻度、食べるタイミングです。

食物繊維が豊富な食事の後に少量楽しむ、活動量の多い日中に食べるなど、工夫次第で血糖値への影響を抑えられます。

ストレスを溜めないためにも、上手に付き合っていく方法を考えましょう。

両親が糖尿病の場合、自分もなりやすいですか?

糖尿病になりやすい体質が遺伝する可能性はあります。

しかし、発症には遺伝的要因よりも、食生活や運動習慣、肥満といった環境要因が大きく影響します。

ご両親が糖尿病であっても、健康的な生活習慣を心がけることで、発症を予防したり、遅らせたりすることは十分に可能です。

薬を飲まずに自力で正常値に戻すことは可能ですか?

はい、可能です。

糖尿病予備群の段階では、食事療法や運動療法といった生活習慣の改善が治療の基本となります。

この段階で適切な対策を継続的に行えば、多くの場合、薬に頼ることなく血糖値を正常範囲にコントロールし、維持することができます。

当院での診療について詳しくはこちらをご覧ください。

しょうこ内科クリニックが選ばれる理由

当クリニックは、患者様一人ひとりに寄り添い、質の高い医療を提供することを目指しています。

豊富な経験と多角的な視点から、健康に関するお悩みを総合的にサポートします。

患者様一人ひとりの不安に寄り添い、丁寧なカウンセリング

健康診断の結果を前にした患者様の不安な気持ちに寄り添い、じっくりとお話をお伺いすることを第一に考えています。

検査データだけでなく、生活背景や日々の悩みにも耳を傾け、納得して治療に進めるよう丁寧に説明します。

どんな些細なことでも気兼ねなくご相談いただける、あたたかい診療を心がけています。

西洋医学と東洋医学(漢方)を組み合わせた多角的な治療提案

当クリニックでは、西洋医学的なアプローチに加え、体質改善や未病の治療を得意とする東洋医学を積極的に取り入れています。

院長自身が漢方によって体調が改善した経験を持ち、その効果を深く理解しています。

双方の長所を活かし、一人ひとりの体質や症状に合わせた最適な治療法を多角的に提案します。

総合内科専門医・血液指導医としての豊富な臨床経験に基づく診療

院長は、大学病院などの基幹病院で内科全般、特に血液内科の専門医・指導医として最先端の医療に従事してきました。

日本内科学会総合内科専門医としての幅広い知識と、豊富な臨床経験に基づいた診断と治療を提供します。

生活習慣病から専門的な疾患まで、安心してご相談ください。

まとめ

糖尿病予備群は、自覚症状がないまま進行し、本格的な糖尿病や動脈硬化のリスクを高める状態です。

しかし、この段階であれば、食事や運動といった生活習慣を見直すことで、正常な状態に戻せる可能性が十分にあります。

健康診断で血糖値やHbA1cの異常を指摘された場合は、それを生活を改善する好機と捉え、できることから対策を始めましょう。

自身の状態を正しく把握し、適切な対策を講じるために、一度医療機関へ相談することをおすすめします。

当クリニックにおける内科診療のご案内はこちらよりご覧くださいませ。