コラムColumn
脂質異常症を放置するとどうなる?心筋梗塞・脳梗塞のリスク
健康診断などで血液中の脂質の数値を指摘されたにもかかわらず、特に自覚症状がないため、そのままにしていないでしょうか。
脂質異常症を放置すると、知らないうちに動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気のリスクを高める可能性があります。
脂質異常症を放置するとどうなるのか、その危険性と対策について解説します。
脂質異常症とは?自覚症状がないからこそ注意が必要な病気
脂質異常症は、血液中に含まれるLDLコレステロールやトリグリセライドが基準値より多い、またはHDLコレステロールが基準値より少ない状態を指します。
この状態が続くと、血管の壁に脂質がたまり、血管が硬く狭くなる動脈硬化を引き起こします。
脂質異常症の怖い点は、病気が進行してもほとんど無症状であることです。
痛みやかゆみといった自覚できるサインがないため、健康診断などで偶然発見されるケースが少なくありません。
症状がないからと安心していると、静かに病状が進行してしまうため、早期の対応が求められます。
脂質異常症を放置した場合に起こりうる3つの重大なリスク

脂質異常症を放っておくと、数年から10年といった期間をかけて血管の状態が悪化し、全身にさまざまな影響を及ぼします。
特に問題となるのが、動脈硬化の進行によって引き起こされる命に関わる疾患です。
自覚症状がないまま5年以上放置すれば、気づいたときには深刻な合併症を発症しているケースも少なくありません。
ここでは、放置した場合に起こりうる代表的な3つのリスクを解説します。
リスク1:血管の壁が硬くなる「動脈硬化」が静かに進行する
脂質異常症を放置すると、増えすぎたLDLコレステロールが血管の内壁に侵入し、プラークと呼ばれる粥状の塊を形成します。
このプラークが溜まると、血管は弾力性を失って硬くなり、内側が狭くなっていきます。
これが動脈硬化です。
動脈硬化は自覚症状がないまま静かに進行し、全身の血流を悪化させます。
血管が狭くなることで、必要な酸素や栄養が臓器に行き渡りにくくなるほか、血圧が上昇する原因にもなります。
動脈硬化が進行すると、プラークが破れて血栓ができやすくなり、血管が完全に詰まってしまう危険性が高まります。
リスク2:心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気の発症率が高まる
動脈硬化が心臓の血管(冠動脈)で進行し、血栓によって完全に詰まってしまうと心筋梗塞を発症します。
心筋梗塞は心臓の筋肉に血液が届かなくなり、筋肉が壊死してしまう病気で、激しい胸の痛みを伴い、命を落とす危険性も高い疾患です。
同様に、脳の血管が詰まると脳梗塞を引き起こします。
脳梗塞は、脳の組織が壊死することで、意識障害や半身の麻痺、言語障害といった重い後遺症が残ることがあります。
これらの疾患は、ある日突然発症することが多く、脂質異常症の放置が直接的な引き金となり得ます。
リスク3:狭心症や閉塞性動脈硬化症につながる可能性もある
血管が完全に詰まらなくても、動脈硬化によって血流が悪くなることで様々な病気が引き起こされます。
心臓の血管が狭くなり、心筋への血流が一時的に不足すると、胸の痛みや圧迫感を感じる狭心症が起こります。
また、足の血管で動脈硬化が進行すると閉塞性動脈硬化症を発症し、歩行時に足の痛みやしびれが現れ、進行すると足が壊死してしまう場合もあります。
これらの病気を防ぐためには、原因となる動脈硬化の進行を食い止める必要があり、脂質異常症の治療は不可欠です。
健康診断の結果で確認すべき脂質異常症の診断基準値
脂質異常症の診断は、血液検査の数値に基づいて行われます。
健康診断の結果を受け取ったら、以下の基準値とご自身の数値を照らし合わせて確認してみてください。
ただし、診断基準はあくまでスクリーニングの目安です。
高血圧や糖尿病、喫煙歴などの他のリスク要因の有無によって管理目標値は異なり、低リスクの方でも数値によっては生活習慣の改善が推奨されます。
自分のリスクがどの程度なのかを正しく知るためにも、専門医への相談が重要です。
LDL(悪玉)コレステロールの基準値
LDL(悪玉)コレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割を持ちますが、増えすぎると血管壁に蓄積して動脈硬化を促進します。
そのため、数値が高いほどリスクが上がります。
診断基準では、140mg/dL以上で「高LDLコレステロール血症」と診断されます。
また、120〜139mg/dLの範囲は「境界域高LDLコレステロール血症」とされ、注意が必要な状態です。
他の疾患リスクが高い方は、より厳しい管理目標値が設定されます。
HDL(善玉)コレステロールの基準値
HDL(善玉)コレステロールは、体内の余分なコレステロールを回収し、肝臓に戻す働きを担っています。
これにより動脈硬化の進行を防ぐため、「善玉」と呼ばれています。
HDLコレステロールは数値が低いことが問題となり、診断基準では40mg/dL未満で「低HDLコレステロール血症」と診断されます。
喫煙や運動不足はHDLコレステロールを低下させる要因となるため、生活習慣の見直しが重要です。
トリグリセライド(中性脂肪)の基準値
トリグリセライド(中性脂肪)は、体を動かすためのエネルギー源として貯蔵されますが、過剰になると動脈硬化のリスクを高めます。
特に、食後の中性脂肪値の上昇は血管壁を傷つけやすいことがわかっています。
診断基準では、空腹時採血で150mg/dL以上の場合に「高トリグリセライド血症」と診断されます。
糖質の多い食事やアルコールの過剰摂取、運動不足などが主な原因で、LDLコレステロールが正常でも中性脂肪が高い場合は注意が必要です。
脂質異常症の数値を改善するための治療アプローチ

脂質異常症の治療は、動脈硬化の進行を抑え、将来の心血管疾患を予防することを目的とします。
治療の基本は、まず生活習慣の改善です。
具体的には食事療法と運動療法に取り組み、それでも数値の改善が不十分な場合や、心筋梗塞などのリスクが非常に高い場合には薬物療法が検討されます。
自己判断で治療を進めるのではなく、医師と相談しながら個々の状態に合った方法を選択することが大切です。
まずは食生活の見直しから始める食事療法
食事療法は脂質異常症治療の基本です。
まず、コレステロールを多く含む卵黄やレバー、魚卵などの摂取量を調整します。
また、肉の脂身やバターなどに含まれる飽和脂肪酸はLDLコレステロールを増やすため、摂取を控えめにし、代わりに青魚や植物油に含まれる不飽和脂肪酸を積極的に摂ることが推奨されます。
中性脂肪が高い場合は、ご飯やパン、果物などの糖質やアルコールの摂取を控えることが有効です。
さらに、野菜やきのこ、海藻などに豊富な食物繊維は、コレステロールの吸収を抑える働きがあるため、毎日の食事にしっかり取り入れましょう。
無理なく続けられるウォーキングなどの運動療法
運動療法は、中性脂肪を減らし、HDLコレステロールを増やす効果が期待できます。
特に、ウォーキングやジョギング、水泳といったリズミカルに体を動かす有酸素運動が推奨されます。
目標としては、ややきついと感じる程度の強度で、1日合計30分以上、週に3日以上行うことが望ましいとされています。
大切なのは、無理なく継続することです。
まずは通勤時に一駅分歩く、エレベーターを階段にするなど、日常生活の中で体を動かす機会を増やすことから始めてみるのが良いでしょう。
医師の判断のもとで検討される薬物療法
食事療法や運動療法を数ヶ月続けても脂質の数値が十分に改善しない場合や、すでに心筋梗塞や狭心症を発症している、あるいは家族性高コレステロール血症など遺伝的な要因が強い場合には、薬物療法が検討されます。
治療薬には、主にLDLコレステロールを下げる「スタチン系薬剤」や、中性脂肪を下げる「フィブラート系薬剤」などがあります。
どの薬を選択するかは、脂質異常症のタイプや他の病気の有無などを考慮して医師が判断します。
薬物療法を開始した場合でも、生活習慣の改善は継続することが重要です。
しょうこ内科クリニックでは生活習慣病の総合的な治療を提供します
当院の内科では、脂質異常症や高血圧、糖尿病といった生活習慣病の治療に力を入れています。
生活習慣病は、単一の疾患だけでなく、複数の要因が絡み合って動脈硬化を進行させることが多いため、総合的な観点からのアプローチが不可欠です。
当院では、血液検査などで原因と状態、合併症のリスクを評価し、薬物療法だけに頼るのではなく、患者様一人ひとりのライフスタイルに合わせた食事や運動などの生活指導をきめ細かく行います。
どの診療科にかかればよいか分からないといったお悩みにも対応しますので、まずはお気軽にご相談ください。
脂質異常症の疑いがあれば早めに専門医へ相談を
健康診断で脂質の異常を指摘されたら、それは体からの重要なサインです。
自覚症状がないからといって放置せず、まずは一度、内科などの専門医に相談することをお勧めします。
早期に受診することで、現在の血管の状態や、他のリスク因子を総合的に評価し、ご自身に合った適切な対策を始めることができます。
病状が進行する前に治療を開始すれば、将来の心筋梗塞や脳梗塞といった重大な病気を予防することにつながります。
手遅れになる前に、ぜひ専門の医療機関を受診してください。
脂質異常症 放置 リスクに関するよくある質問

ここでは、脂質異常症の放置リスクに関して、患者様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
治療や受診を検討する際の参考にしてください。
脂質異常症を放置すると、最終的にどうなりますか?
放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気を引き起こす危険性が高まります。
これらの病気は後遺症が残ることも少なくありません。
自覚症状がないまま静かに進行するため、早期の対応が重要です。
脂質異常症にはどのような自覚症状がありますか?
脂質異常症自体には、ほとんど自覚症状がありません。
そのため「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」とも呼ばれます。
動悸や胸の痛みなどの症状が現れたときには、動脈硬化がかなり進行し、合併症を発症している可能性があります。
コレステロール値が基準を超えたら、すぐに薬を飲む必要がありますか?
必ずしもすぐに薬物療法を開始するわけではありません。
まずは食事や運動といった生活習慣の改善から始め、その効果を確認します。
ただし、数値が著しく高い場合や、他の危険因子がある場合は、早期から薬物療法を検討します。
しょうこ内科クリニックが選ばれる理由
当クリニックは、患者様とのコミュニケーションを大切にし、一人ひとりの健康状態やライフスタイルに合わせた最適な医療を提供することを目指しています。
内科診療においては、西洋医学的なアプローチに加え、体質改善を目的とした東洋医学的な視点も取り入れ、多角的な治療を提案します。
患者様一人ひとりに寄り添った丁寧な診療
当クリニックでは、患者様に寄り添った温かい診療を心がけています。
院長はこれまで基幹病院で最先端の医療に従事してきた経験を活かし、質の高い医療を提供します。
同時に「地域のかかりつけ医」として、気になる症状や健康上の不安について、何でも気軽に相談できる存在でありたいと考えています。
健康診断の結果についてのご相談から、具体的な治療方針の決定まで、丁寧に説明し、ご納得いただいた上で治療を進めます。
西洋医学と東洋医学を組み合わせた最適な治療提案
当院の特色の一つは、西洋医学と東洋医学を組み合わせた治療提案です。
生活習慣病の治療は西洋医学が中心となりますが、体質改善や西洋医学では対応しきれない症状に対しては、漢方薬を用いた治療も積極的に取り入れています。
院長自身が漢方によって体調が改善した経験から、それぞれの医学の長所を活かし、患者様にとって最良の治療法をご提案します。
一人ひとりの体質や症状に合わせたオーダーメイドの治療が可能です。
まとめ
脂質異常症は自覚症状がないまま進行し、放置すると動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞といった生命を脅かす病気につながる可能性があります。
健康診断などで脂質の数値を指摘された場合は、症状がないからと軽視せず、速やかに医療機関を受診することが重要です。
治療の基本は食事や運動などの生活習慣の見直しであり、早期に取り組むことで、薬物療法に至らずに数値を改善できる場合も少なくありません。
ご自身の健康状態を正しく把握し、将来の重大な病気を予防するために、まずは専門医に相談することから始めてください。
当クリニックにおける内科診療のご案内はこちらよりご覧くださいませ。