お知らせ
糖尿病で足がかゆくなる理由とは?原因と対処法、受診の目安を解説

「足がかゆい」「皮膚がカサつく」「ひび割れやすい」——これらは、冬になると糖尿病の人に多くみられるお悩みです。「乾燥によるもの」「冬にありがちな症状」と思って放っておいてしまう人もいますが、糖尿病があるとこうした症状は治りにくく、そのままにしていると細菌感染などを引き起こすこともあります。そこでこの記事では、糖尿病で足がかゆくなる理由や対処法、受診の目安をわかりやすく解説します。冬を快適に過ごすためのヒントとしてぜひお役立てください。
糖尿病で足がかゆくなる理由
糖尿病は、「インスリン」というホルモンの分泌量が低下したり、うまく働かなくなることで、慢性的な高血糖の状態が続く病気です。高血糖状態が長く続くと、血管がダメージを受けるため、様々な合併症を引き起こすことがあります。糖尿病の影響は皮膚にも表れ、次のような変化が起こります。

1.皮膚の水分量や皮脂量が低下する
糖尿病になると、余分なブドウ糖を尿と一緒に排出しようとするため、体内の水分が不足し、皮膚の水分量も減少します。また、自律神経にも影響が及ぶことがあり、発汗や皮脂分泌の機能が低下することがあります。
皮膚の水分と皮脂は、外部刺激から皮膚を守るバリア機能としての役割があります。これが低下すると、少しの刺激でもかゆみを感じやすい、乾燥による湿疹ができる、ひび割れができやすい、といった状態になりやすくなります。
2.血流が悪くなり、皮膚の回復が遅れる
高血糖状態が長く続くと、血管が脆くなったり詰まったりしやすくなります。特に足先などの細い血管がダメージを受けると、血流が低下して、皮膚に必要な酸素や栄養が届きにくくなります。すると、乾燥しやすくなり、小さな傷が治りにくい、肌荒れが起こる、冷えが強くなってかゆみを感じやすくなるなどの状態が続きます。
3.神経障害でかゆみの感じ方が変化する
糖尿病によって末梢神経障害が起こると、足の感覚が過敏になったり、反対に鈍くなったりします。足の感覚が過敏な状態ではわずかな刺激でもかゆみを感じやすくなり、不快感が続くようになります。また感覚が鈍くなると、皮膚の乾燥に気づきにくくケアが遅くなり、ひび割れや小さな傷が悪化してしまうことがあります。
4.足白癬(あしはくせん:水虫)にかかりやすくなる
皮膚の乾燥やひび割れがあると、水虫の原因菌である白癬菌が侵入しやすくなります。足白癬(水虫)では、かゆみや皮むけ、ジュクジュク、爪の色や形の変化などの症状が現れます。糖尿病では足白癬が悪化しやすいため、注意が必要です。
このような理由で、糖尿病になると足のかゆみをはじめとする皮膚トラブルが起こりやすくなります。治りにくい傾向があるため、普段のケアを見直して、悪化しないように対策することが重要です。
糖尿病による足のかゆみ対策!保湿と血流改善がケアのポイント

足のかゆみをはじめとする皮膚トラブルは、血糖値が高いほど悪化しやすくなります。そのため、まずは血糖コントロールを適切に行うことが、皮膚症状の予防に非常に重要です。そして、日々足の状態を観察することと清潔に保つことが基本です。
その上で、足のかゆみ予防につながる次のケアを取り入れてみましょう。ケアのポイントは、保湿と血流の改善です。
1.保湿ケアで乾燥を防ぐ
足の皮膚が乾燥しないように、入浴後の保湿ケアを徹底しましょう。入浴後は皮膚が最も乾燥するタイミングです。できるだけ早めに、かかとや足裏など皮膚が硬くなりやすい部分に保湿剤を塗りましょう。指の間は塗りすぎると蒸れやすいため、保湿剤は少量にとどめましょう。ワセリン、尿素入りクリーム、ヘパリン類似物質など、刺激の少ない保湿剤を選ぶのがおすすめです。
2.靴下と靴は締め付けが少なく、蒸れにくいものを選ぶ
血流の悪化を防ぐため、締め付けの強い靴下は避け、口ゴムがゆったりしたものを選びましょう。靴もサイズに合ったものを履くことが重要です。
また、冬は温かい厚手の靴下を選びがちですが、蒸れやすいとかえって足白癬などのリスクが高まります。靴下なら綿・ウールなど汗を吸いやすい素材を、靴の場合は革靴よりも通気性のあるメッシュ素材のものを選ぶのがおすすめです。同じ靴を連日履かないなどの工夫も、白癬菌の感染予防に役立ちます。
3.温める時は低温やけどに注意
血流改善のために足を温めることは有効ですが、神経障害があり感覚が鈍くなっている場合は、熱さを感じにくく、低温やけどを引き起こすリスクがあります。足を温める際は、長時間同じ場所にカイロを当てない、こたつや電気毛布は「弱」設定にするなど、低温やけどにならない工夫が必要です。レッグウォーマーなど、温度管理のいらないものも活用しましょう。さらに、温めた後は汗をしっかり拭き取り、靴下を替えるなど清潔を保つことが大切です。
4.軽い運動でふくらはぎのポンプを動かす
「第二の心臓」とも呼ばれるふくらはぎには血液のポンプ機能があり、ここを動かすことで血流を良くすることができます。
ウォーキングなどの軽い運動を取り入れるのがおすすめですが、難しい場合は足首回しやかかと・つま先上げ、ふくらはぎのストレッチなど、簡単なものから取り入れてみましょう。運動後は足が蒸れやすくなるため、靴下を履き替える、足を乾かすなどのケアを行うと足白癬の予防にもつながります。
糖尿病による足のかゆみが治まらない時は受診を
糖尿病の人は、乾燥やかゆみといった軽い皮膚トラブルでも悪化しやすいため、気になる症状があるときは主治医に相談しましょう。特に次のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
- かゆみや皮むけが続いている
- 症状のある場所が広がっている
- 足白癬が疑われる症状が出ている(指の間がジュクジュクしている、皮むけ、爪の変化など)
- 赤み、腫れ、熱感などがあり、炎症が起きている
- ひび割れや小さな傷が治りにくい、出血しやすい
- しびれている、感覚が鈍ってきている
- 黒っぽい変色や強い痛みなどが出てきている
特にしびれや感覚麻痺などの症状が出てきている場合は、糖尿病による神経障害が悪化している可能性が考えられます。また、黒っぽい変色や強い痛みがある場合は、壊疽(えそ:組織が壊れて黒くなっている状態)などの可能性があり、緊急性が高いことがあります。自己判断せず、早めに受診しましょう。
受診の際は、内科と皮膚科のどちらに行くべきか迷うかもしれませんが、糖尿病と診断されている方は、内科を受診して全身の状態を確認しましょう。

まとめ
糖尿病の人にとって、足のかゆみが起きやすい冬場は、過ごしにくい季節に思えるかもしれません。少しでも快適に冬を過ごすためにも、適切な血糖コントロールと早めのケアに取り組みましょう。そして、症状が続く場合は医療機関に相談することも重要です。
なお、まだ糖尿病と診断されていない方でも、ケアをしているのに足のかゆみやガサガサが治らない、治りにくい小さな傷がある、足白癬を繰り返しているなどの皮膚症状が、糖尿病のサインとして現れることもあります。セルフケアを続けても改善しない症状があるときは、早めに受診しましょう。
記事の要点
- 糖尿病では高血糖の影響で皮膚の水分・皮脂が減り、乾燥やかゆみ、ひび割れが起こりやすくなる。
- 糖尿病で神経障害が起こると、刺激を感じやすくなったり、反対に感覚が鈍くなったりして、足トラブルが悪化しやすい。
- 糖尿病では足の乾燥やひび割れが原因で、足白癬(水虫)など細菌感染を合併することがあり、これがかゆみの原因となることもある。
- 足のかゆみを予防するには、血糖コントロールや足の観察・清潔に保つためのケアをした上で、入浴後の保湿、適切な靴下・靴選び、適度な運動習慣などを取り入れるとよい。
- かゆみが続く、皮むけやジュクジュクが広がる、色が変わる、痛みやしびれがある場合は、早めに内科で相談をするほうがよい。
当クリニックにおける内科診療のご案内 はこちらよりご覧くださいませ。