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【医療コラム】朝起きると喉が痛いのはなぜ?よくある原因と自分でできる改善法、受診の目安を解説

朝起きたとき、「喉がヒリヒリする」「声がかすれる」「なんとなく違和感がある」と感じたことはありませんか。気温が下がり始め、空気が乾燥しやすくなるこの時季は、寝ている間に喉の粘膜が刺激を受けやすくなり、朝に喉の痛みを感じることがあります。この記事では、朝起きると喉が痛くなる原因と、自宅でできる対策、そして受診の目安を分かりやすく解説します。朝に喉の痛みを感じやすい方は、ぜひ参考にしてください。
朝に喉の痛みを感じる主な原因
朝に喉の痛みを感じると、「風邪かな?」と思いがちですが、必ずしも感染症が原因とは限りません。痛みが朝だけで治まる場合は、睡眠中の乾燥などの環境要因が影響している可能性が高いでしょう。
そもそも眠っている間は、起きている時に比べて喉が乾燥しやすくなります。水分を摂取したり、会話による唾液分泌が少なくなるためです。粘膜を覆う薄い粘液の層が乾くと、外からの刺激を受けやすくなり、軽い炎症が起こりやすくなります。
さらに、次の要因が重なると、喉の乾燥は一段と進みます。
〇室内の湿度が低い
秋や冬は空気の乾燥が進む季節です。特に冬は、睡眠中も暖房器具を使用する人が増えますが、乾燥対策をしないで寝てしまうと、室内の湿度が低くなり、喉の粘膜が乾燥しやすくなります。
〇口呼吸の癖がある、鼻が詰まっている
睡眠中は筋肉が緩んで口が開きやすくなるため、誰でも口呼吸になる可能性があります。特に普段から口呼吸の習慣がある人は、睡眠中も同じ状態になりやすく、喉が乾燥しやすくなります。また鼻が詰まっている人も、口呼吸になりがちです。乾いた空気が直接喉へ触れることで、朝にヒリヒリした痛みを感じやすくなります。
〇いびきをかいている
いびきの振動は喉の粘膜に直接刺激を与えるため、朝の痛みにつながりやすくなります。特に、普段からいびきをかく人は、睡眠中に喉が乾燥しやすく、起床時にヒリつきや違和感が生じることがあります。
〇アレルギー体質、胃酸が逆流しやすい
ダニやハウスダストに対するアレルギー症状が出やすい人、逆流性食道炎などがある人は、朝に喉の不調を感じることがあります。
このように、朝に喉が痛む原因はウイルスへの感染だけとは限りませんが、喉が乾燥しやすい環境をそのままにしておくと、喉の粘膜のバリア機能が次第に弱まり、風邪などのウイルスが付着・侵入しやすい状態になります。その結果として、風邪や感染症を発症することがあるため、朝に喉の不調を感じたら、就寝中の環境を整えたり、いつも以上に体調管理に気をつけたりすることが重要です。

朝の喉の痛みを悪化させないためのセルフケア
睡眠中の喉の乾燥を防ぐために簡単にできるセルフケア方法を紹介します。
〇寝室環境の対策
加湿器を使う、または濡れタオルを干すなどして、室内の湿度を40〜60%に保つようにしましょう。
また、喉の痛みに加えて、くしゃみや鼻水など、アレルギー症状が出ている場合は、寝具をこまめに洗濯したり、寝室を掃除したりすることも重要です。
〇口呼吸の対策
鼻づまりによる口呼吸は、喉の粘膜が乾燥する大きな原因の一つです。寝る前に鼻うがいをしたり、鼻を温めたりすると、鼻詰まりが解消しやすくなります。また、枕の高さを調節し、鼻呼吸しやすい姿勢を見つけましょう。ただし、これらは一時的な対策です。根本的に解決するためには、医療機関で鼻づまりの原因を特定し、治療を受けることが不可欠です。
〇いびきを軽減するための対策
横向きで寝る、枕の高さを調整するなど、寝る際の姿勢を工夫してみましょう。また、肥満の人は睡眠中に気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。肥満でいびきをよくかく人は、食生活を見直したり運動習慣を取り入れたりして、肥満の解消に取り組むことも重要です。
また、寝る前のアルコールを控えることも効果的です。寝る前に飲酒をすると、喉の気道が緩んで気道が狭くなりいびきをかきやすくなるためです。習慣化している人は、控えてみてください。
なお、いびきだけでなく、日中の眠気が強いなどが伴う場合は、睡眠時無呼吸症候群が疑われます。早めに医療機関へ相談しましょう。
〇胃酸による刺激を受けにくくするための対策
朝に軽い喉の痛みだけでなく、ヒリヒリしたり酸っぱい感じ・苦い感じがする場合は、胃酸が逆流して、喉にダメージを与えている可能性が考えられます。睡眠中に胃酸が逆流するのを防ぐため、夕食は就寝の2~3時間前までに済ませるようにしましょう。また、左側を下にした横向きの姿勢で寝ることもおすすめです。
このように、原因に合わせたケアを行うことで、症状の予防や改善が期待できます。

喉の痛みが続く・強い場合は受診を
朝だけの軽い痛みは、乾燥や口呼吸などが関係している可能性が高く、生活環境の見直しで改善が期待できますが、痛みが日中も続く、強くなる、他の症状を伴うといった場合は、病気が関わっている可能性があります。以下を目安に、必要に応じて受診しましょう。
●「飲み込むと強く痛む」「痛みで食事がとれない」場合
このタイプの痛みは、急性咽頭炎や扁桃炎が疑われます。ウイルス感染が多いですが、細菌性の場合もあり、扁桃に白い膿(白苔)がつくことがあります。特に以下に当てはまる場合は、早めに受診しましょう。
〈受診の目安〉
- 痛みが7日以上続く、痛みが強く悪化している
- 食事や水分がとりにくい
- 喉の奥が真っ赤に腫れている、扁桃に白いものが付いている
- 呼吸困難、息苦しさがある
●「高熱」や「全身のだるさ」を伴う場合
急な発熱、関節痛、強い倦怠感がある場合は、インフルエンザや溶連菌感染症などの可能性があります。特にインフルエンザは、発症から時間が経つと薬が効きにくくなるため、適切なタイミングで受診しましょう。目安となる症状は以下です。
〈受診の目安〉
- 38度以上の発熱が続いている
- 倦怠感や筋肉痛など、全身症状が強い
- 感染症の患者と接触した、周囲で感染症が流行している
●「片側だけが強く痛い」「口が開けにくい」場合
喉の片側のみが強く痛む、口が開きづらい、よだれが垂れるなどの症状がある場合は、扁桃周囲膿瘍(のうよう)が考えられます。扁桃炎が悪化して膿が溜まる状態で、気道を塞ぎ呼吸困難に至る可能性があるため、緊急の治療が必要です。
〈受診の目安〉
- 片側の喉の痛みが非常に強い
- 口が開きにくい、痛みのためによだれが出る
- 声がこもる
●「胸やけ」「喉に酸が上がる感じ」がある場合
寝ている間に胃酸が逆流し、喉を刺激して炎症が続くことがあり、「咽喉頭酸逆流症」や「逆流性食道炎」などが疑われます。以下の症状がある場合は、医療機関で相談しましょう。
〈受診の目安〉
- 朝に声が枯れる、咳や痰が出る
- 慢性的に喉の痛みや不調を感じる
- 胸やけが続く、ムカムカがある
- 酸っぱいもの、苦いものが上がる感覚がある
- 飲み込みにくさや異物感がある
●アレルギー症状がみられる場合
くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどと一緒に喉が痛む場合は、アレルギー性咽頭炎の可能性があります。寝具のダニやホコリ、花粉が原因になることがあります。適切な薬で改善することが多いため、受診しましょう。
〈受診の目安〉
- 喉の痛みや咳などが長引いている
- くしゃみや鼻水、目のかゆみが続く
●「声が出にくい」「声が枯れる」が続く場合
声帯の炎症(声帯炎や喉頭炎など)が疑われます。風邪や喉の使いすぎが原因ですが、喫煙や胃酸の逆流が影響することもあります。医療機関で診察を受け、原因を特定しましょう。
〈受診の目安〉
- 声のかすれが2週間以上続く
- 息苦しさや喘鳴(息を吸うときにヒューヒューという音がする)、呼吸困難がある

まとめ
朝の喉の痛みは、睡眠中の乾燥や口呼吸などによって粘膜が刺激され、軽い炎症が起こることが主な原因です。ご紹介したセルフケアで改善するケースが多くみられますが、痛みが数日続く、発熱や強い倦怠感を伴う、片側だけが強く痛むなど、他の症状が見られる場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
記事の要点
- 睡眠中は唾液分泌が減るため喉が乾燥しやすく、室内の乾燥が重なると朝に痛みや不調が生じやすくなる。
- 口呼吸の癖や鼻づまりがある人、いびきをかく人は、乾燥した空気が直接喉に触れやすく、起床時のヒリヒリ感が出やすくなる。
- アレルギー体質や逆流性食道炎などの基礎疾患がある場合も、炎症や刺激が起こりやすく、朝の喉の不調につながることがある。
- 寝室の湿度を40〜60%に保つ、寝具の清潔を保つ、鼻づまりや口呼吸・いびきを軽減する工夫、夕食や寝る姿勢の見直しによる胃酸逆流対策など、環境と習慣の調整で症状が改善することが多い。
- 痛みが続く・悪化する、飲み込みづらい、高熱や強い倦怠感、片側だけ強い痛みがある、胸やけしたり酸の逆流を感じる、アレルギー症状や声枯れが長引く場合、は他の病気が疑われ、早めの受診が必要なことがある。
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